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11月号「燗のサイエンス その1.お燗をすること」


日本酒は「燗をつける」世界でも稀な生活様式―文化を持っています。
いつも何気なく飲んでいる、この「燗」について少し掘り下げて考えてみたいと思います。
まず、燗という字ですが火は炎や熱源を表します。その右側の門(もん)は、二つの大きな構造物、建物や互いに非常に接近した山の峰などを示します。
そして、月が書かれています。つまり尖った山と山の間に月がちらりと横切る様で「ちらりちらりとのぞき見る」意となります。
このことから、火にかけた何かを数分位の時間内に、しばしば様子をうかがうという、まさに日本酒の燗をしている間に人間がとる行動を想わせるものです。

酒を暖めて飲むことは、奈良時代頃から行なわれていたようで、平安時代には貴族社会で広がり、民衆に普及していったのは江戸時代、中期以降と伝えられております。

燗は、当初は旧暦で9月9日―重陽の節句(現代の10月5日頃)から翌年の3月3日(桃の節句)頃にかけての、晩秋から新しい酒が出来上がる春先頃までの、主に冬期に行われていたようです。
ぴちぴちしたフレッシュな新酒を、春や夏にわざわざ暖める必要がなかったのと、夏を越えた日本酒は急速に熟して老ね香のあるマイルドな酒へと変わるため、そんな短所と長所をバランスさせる知恵が生まれたのだと思います。

では、どんな理由から燗をするようになったのでしょうか。

第1 に、当時の酒は現在より保存性を高めておく必要があって、今よりもエネルギッシュで重く、また酸味も強かったと考えられることから、お酒の甘・酸・苦・旨の各要素の味が、体温よりやや高い温度でスッキリとまとまり、燗上がりしたのではないでしょうか。
第2 に、そのような酒は一方で貴重品だったこともあり、多分に良水で割って飲んでいたことも考えられます。実験してみますと、日本酒に水を加えてから燗をつけると加水したとは思えないほど味わいがまとまります。
つまり、加温することによって、酒の成分が瞬間的に熟成することが観察できるのです。
第3 に、貝原益軒の「養生訓」に見られるような当時の自然思想や自然療法の考えに沿って、体温に近い暖かいもののほうが体に良いとされていたのでしょう。
第4 に、当時の農業事情から見ると、今より気候が寒冷だったようで特に冬の過し方には格段の工夫が求められた、そんな一環だと考えられます。
また、住居の立て付けや材質から見ても、燗でなければやりきれなかったのではないでしょうか。
第5 に、焼き物、陶工や窯場の増加と発展にともなって陶器の徳利や、盃、炭を用いた火鉢などが普及していったことも大きな関連があるでしょう。言わば、長火鉢で徳利の酒を燗することがトレンディ−な、粋でおしゃれな様式であったのではないでしょうか。
第6 に、と言うよりも、最も大きな理由は、日本酒は燗をすると何といっても「おいしくなる」だけでなく、秋から冬にかけての味の濃い、油脂を含んだ食品や料理のおいしさを引き立てて、味をわかりやすくし、さらに暖かい酒による、口中をさっぱりと洗ってくれる効果を格別にたかめるのだと考えられます。
燗は、先人の偉大な知恵であり、また、昔の人々がそれぞれに夜な夜な燗をつけて酒を楽しんでいたのを想像すると、なにやらほほえましい景色が見えてくるようですね。
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10月
日本酒でカクテルを造る・日本酒でなければならない理由


9月
日本酒を涼しくする技術
その2.日本酒カクテル


8月
日本酒を涼しくする技術
その1.


7月
日本酒と器の関係
その2.酒を注ぐ


6月
日本酒と器の関係
その1.グラス


5月
お酒を水で割る。



4月
日本酒を飲んですっきりした次の朝を迎える方法